黄昏と百合と骨

【大幅改装中】大学生(になっちゃった)中学生の時に開設した暇ブログ。今は暇じゃない。

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『いのちのパレード』 恩田陸



『いのちのパレード』恩田陸




敬愛する作家の一人である恩田陸の作品はそれなりに読んできましたが、15冊目にして私には初の短編作品集でした。


全ての短編で世界が独立していて、読者にドキドキワクワクを与えたくさんの疑問を抱かせつつ、その解決を放棄して奇想天外なまま結末を迎えるこのスタイルは、完全にショートショートと言える、のかな。


表題作『いのちのパレード』は、ゾウやイヌ・クジラなどの哺乳類から、魚、鳥、虫、そして古代の恐竜から最近のドードー鳥に至るまでの多様な絶滅動物など、この地球上に生きた全ての生き物たちが、食物連鎖や弱肉強食の次元を超えて謎の目的地を求め大移動をする話。全ての生き物たちが地平線に消えていったあと、五人の人間がそれを遠く見ていて、ゆっくりとその後を追って歩き出すところでおしまい。雄大だけど儚く脆い、そんないのちへの愛しさが迫ってくる作品だった。


15の収録作品の中で、私が一番好きだと思ったのは『走り続けよ、ひとすじの煙となるまで』

人々は「=王国」と呼ばれ走り続ける、謎の巨大な駆動体の中に共同体を作り、生活する。どうしてそれが走るのか、いつか止まるのか、何も明らかでないその「=王国」で人々は地球の人類が歩んで来たような歴史を描いて、やがては未知の「=王国」から出ることができない絶望に包まれ、衰退していく。けれどもなお、その駆動体は走り続ける。という奇妙で怖い話。
自分が生まれた環境が運命によって決められたものなのかも分からず、だからといってそれに逆らうこともできない、それでも自分の周りの世界の中でたくさんの葛藤を繰り広げる人間は、とても健気で残酷な存在だと思った。そこに生まれたらそこで生きるしかない。それに理由なんてない。そういうことかな~


恩田陸作品の最大の魅力は、心の中に波紋を打ち続けて止まない読後の余韻だと私は思うのです。今回はショートショートだったので、現実世界から大きく飛躍したその舞台設定と、衝撃的で突然な結末によって、作品の余韻はより一層胸を打つものとなっていたように思います。

いつも安定感のある恩田陸作品はお気に入りばかりですが、この本はその中でも上位に入る内容でした。図書館蔵書ではなく愛読書としてそのうち是非購入したい(^o^)


結びに、『走り続けよ、ひとすじの煙となるまで』の一節を。


『そこには意味も意義も存在しない--ただおのれの身体に刻み込まれた、「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」という言葉に、かちどきの声を上げて従い続けるだけなのだ。』
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| 恩田陸 | 17:35 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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